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医師が行う「わきがチェック」とは
わきが臭に悩む患者様に対して、私たち医師はまず汗の臭いの程度をチェックすることから始めます。
吸湿性のある紙片をわきに挟んでもらい、しばらくそのままにしてわきの臭いを紙片に移させます。その後、紙片の臭いをかぎ取ってみて、臭いの程度を判断するというものです。
かなりアナログなやり方だと思われるかもしれませんね。確かにこの方法ですと、医師の感覚だけが頼りとなります。そのため診断にばらつきが出たり、不安定になったりしないのかと心配される方もあるかもしれません。
ですがそもそも臭いというものは極めて感覚的なものです。あるニオイを不快に感じるか好ましいと感じるかは、その人の感覚によって変わってきます。日本では嫌われやすいわきがの臭いも、欧米では自分の魅力を発散するセックスアピールとして受け止められるのです。こうした例を見ても、臭いは感覚で図るのがむしろ合理的といえるでしょう。 しかも臭いは気温や湿度のように、数値化することができません。それはニオイの種類とともに、その強さによって感じ方が変わってくるというニオイの持つ特性にも関連しています。
たとえば香水やオードトワレのような、一般的にみて「好ましい匂い」であっても、あまりに強く匂ってしまうと人に不快感を与えてしまいます。またその逆もあります。よく引き合いに出されるものとして「スカトール」という物質があります。これはひどい腐敗臭を発する化合物なのですが、濃度をどんどん薄めていくとジャスミンのような香りになることが知られており、化学的に合成されたものは香料として、香水やタバコなどに使用されています。
このように、汗のニオイはその種類や濃度、強さによって性格を変えますし、それを感じ取る人の感覚によっても好悪がはっきりと分かれます。ですから客観的な基準を持つ専門の医師がチェックし、診断することが、現在のところ最も現実的な方法なのです。
治療を受けるかどうかを決めるのはあなた自身
わきが・多汗症は他の多くの疾病…病気やケガと違って、ただちに健康的な被害を及ぼすものではありません。ですからたとえわきがだと診断されたとしても、「今すぐ手術が必要だ」という緊急性はほとんどないのです。ですがここで重要なのは、患者様自身の精神的な悩みと苦しみです。
わきがに悩む方々は、いつも不安と背中合わせです。人混みや電車の中などでは「臭っていないだろうか」と気にし、人と会うときには「臭いと思われてはいないか」と心配になります。こうした不安がぬぐえないのは、「自分自身のニオイが自分では判らない」ということが大きな原因なのです。
ですから専門医の診察を受けて自分のニオイの程度を知れば、ご自身の中にひとつの基準ができます。そしてそれを基準として今後の対策を考えることもできるのです。ほとんどニオイがなく、気にするほどでもないと判れば「ああ、思い過ごしだったのか」と安心しますし、日常的なケアで対処できるレベルであれば具体的なケア方法について医師に相談することもできるでしょう。治療対象となるレベルだと診断されたなら、あらためてどのような治療法が良いのか、検討することができます。
根治療法である外科治療、注射によって汗腺類の働きを弱めるボトックス注入法。さらに最近になって登場した「ミラドライ」は肌を切開しないので視聴の痕跡が残らず、しかも術後の患部の固定が不要で、すぐに今まで通りの生活に戻れるという利点があります。体を使うお仕事の方や多忙でオフの時間をとりにくい方、モデルさんをはじめ芸能人の方々にも最適な治療法といえます。これらさまざまな治療法の中からどの方法が自分に適しているのか、医師とのカウンセリングの中で検討していくこともできるのです。
いずれにしても、悩みや不安を解決するにはまず正しい情報を知り、自分の症状を正しく知ることです。インターネットの発達した現代では、多くの情報を集めた「wikiサイト」が数多く運営されていますし、ワキガ・多汗症に特化したものもあるようです。そうした情報を充分に集め、信頼できる医師に相談してみましょう。それは悩むばかりの毎日から抜け出す、大きな一歩になるはずです。
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